今回は、馬菜 銀座本店の馬刺しの中でも特に人気の部位「タテガミ」についてご紹介します。
タテガミの歴史と文化なぜ“珍味”として愛されてきたのか?

馬刺し文化が根付く熊本や長野、福島といった地域では、古くから馬肉が日常的に食されてきました。その中でも「タテガミ」と呼ばれる脂の部位は、決して主役にはならないものの、食通の間で「知る人ぞ知る」希少部位として重宝されてきました。
馬肉文化と“もったいない精神”
馬肉を食べる文化が生まれた背景には、江戸時代以前の「薬膳」としての考え方や、信州地方での寒冷地におけるタンパク源の確保という実用的な理由がありました。馬は一頭から得られる肉量が多く、解体後の部位ごとの利用価値を最大限に高めるため、脂や筋、骨までも無駄にしない「もったいない精神」が根底にあります。タテガミもそうした精神のもと、捨てられることなく食されてきた貴重な存在なのです。
タテガミの呼び名に込められた地域性
「タテガミ」は、地方によって「コウネ」「コーネ脂」などとも呼ばれます。広島や山口では「コーネ」が一般的で、お刺身だけでなく焼肉としても登場します。呼び名ひとつにも、地域ごとの文化と食へのこだわりが垣間見えます。

タテガミの“美味しさ”を科学でひも解くなぜあの食感にハマるの?
タテガミは、見た目こそ真っ白な脂の塊ですが、実はその構造は他の動物の脂肪と大きく異なります。食感と味の秘密は、その分子構造と脂の融点にあります。
低融点の脂が生む“口溶け”
馬脂は牛脂や豚脂と比較して融点が非常に低く、体温程度で溶けてしまいます。そのため、タテガミを口に含んだ瞬間に「スーッ」と溶けていく感覚が生まれ、しつこさのない“上品な甘さ”が広がるのです。
コリコリとした“ゼラチン質”の構造
タテガミの独特の「ぷりぷり」「コリコリ」とした食感は、コラーゲンとゼラチン質が豊富なことによるものです。しっかりとした繊維構造を持ち、単なる脂肪とは異なる噛みごたえを生み出しています。このテクスチャが“クセになる”と感じさせる最大の要因です。
香り成分と「相性のいい調味料」
タテガミには独特の甘い香りがあり、これは脂肪酸の分解によって生成される天然の香気成分によるものです。九州醤油や生姜、わさび、すりニンニクなどの香味野菜は、こうした香気成分との相乗効果で脂の風味を引き立ててくれます。科学的にも「相性が良い」とされる組み合わせの一つです。
美意識が高い方にオススメ

タテガミにはコラーゲンがたっぷり入っております。
タンパク質の1つであるコラーゲンは肌や骨の材料になる栄養素です。皮膚の70%はコラーゲンでできていて肌のハリ、ツヤにコラーゲンを摂取する事が人気です。 スッポンやフカヒレなどにも多く含んでおりますが、高価なうえ入手が難しいので利用しにくいです。その点タテガミ刺しはお刺身でお召し上がりいただけるのでとても便利です。

馬のお肉はヘルシーな為ダイエット中の方でも最適です。
ただカロリーがゼロでは無いので食べ過ぎにはご注意下さいませ。
美容の為にもコラーゲンを上手に使ってみてはいかがでしょうか?
家庭でも楽しめるタテガミ初心者でも簡単アレンジレシピ3選
高級料理店で食べるイメージの強い「タテガミ」ですが、通販や専門店で購入すれば家庭でも気軽に楽しむことができます。ここでは初心者でも作れる、ちょっとした工夫でグレードアップするアレンジレシピを紹介します。
- タテガミとアボカドのカルパッチョ
- 材料
- タテガミ(薄切り) 50g
- アボカド 1個
- オリーブオイル 大さじ1
- レモン汁 小さじ1
- 塩・黒胡椒 少々
- 作り方
- タテガミは冷蔵庫で半解凍し、薄くスライスする。
- アボカドは薄切りにし、交互に並べる。
- オリーブオイルとレモン汁をかけ、塩と黒胡椒で味を調える。
- 材料
→ タテガミの脂の甘みとアボカドのクリーミーさが融合し、ワインや日本酒にも相性抜群。
- タテガミのユッケ風和え
- 材料
- タテガミ 50g
- 卵黄 1個
- 焼肉のタレ(甘口) 大さじ1
- ゴマ油 小さじ1
- 白ごま 少々
- 作り方
- タテガミは細切りにし、焼肉のタレとゴマ油で和える。
- 卵黄を中央に乗せて、白ごまをふりかける。
- 材料
→ 見た目も豪華で、酒の肴として最適。ピリ辛アレンジもおすすめです。
- タテガミ×赤身 馬刺しミルフィーユ
- 材料
- タテガミスライス 30g
- 赤身馬刺し 30g
- わさび醤油 適量
- 作り方
- タテガミと赤身を交互に重ねてミルフィーユ状にする。
- わさび醤油でシンプルにいただく。
- 材料
→ 熊本でも定番の食べ方。タテガミの脂と赤身の旨味が調和し、まるで高級和牛のような味わいに。
まとめ
タテガミはただの“脂”ではなく、日本の食文化や科学、そして家庭の食卓にまでつながる奥深い食材です。知られざる歴史、科学的な美味しさの理由、簡単な家庭アレンジレシピといった視点からその魅力を再発見することで、タテガミをもっと楽しめるようになります。
あなたもぜひ、“知る人ぞ知る”馬刺しの世界に、一歩踏み込んでみてはいかがでしょうか?